最新のフィジカルセキュリティの状況に関するアンケートの結果によると、2022年から2023年にかけてクラウドの導入は20%増加しています。また、エンドユーザーの60%が、必要に応じてオンプレミスとクラウドソリューションを組み合わせたハイブリッドクラウド展開に移行していると報告されています。
クラウドベースのフィジカルセキュリティソリューションが普及するにつれて、意思決定者は次のような疑問を抱いています。
- フルクラウドとハイブリッドクラウド展開の違いは ?
- フルクラウドにするかハイブリッドクラウドにするかを決定する際に、導入という点で考慮すべきことはどんなことか ?
- フィジカルセキュリティの現在および将来の目的達成に最適なクラウドアプローチはどちらか ?
フルクラウドとハイブリッドクラウドのセキュリティ展開の比較クラウド管理アプライアンスを使用し、クラウドへの移行を容易にすると同時に、追加のメリットをもたらす方法
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フルクラウド展開
フルクラウド展開とは、動画、入退室管理データ、センサー情報をすべてデフォルトでクラウド上で保存および管理することを意味します。 いつでも一元管理されたクラウドソフトウェアにアクセスし、すべてのセキュリティタスクを監視し、デバイスを管理できます。これには、クラウドへの直接接続カメラ、コントローラー、その他のさまざまなデバイスが含まれます。
フルクラウド展開の場合、オンプレミスには管理またはメンテナンスが必要なインフラがないため、最新のサイバーセキュリティ更新はすべてクラウドからデバイスにプッシュされます。
フルクラウド展開することでメリットがある組織
- クラウドファースト・ポリシーを推奨している
- サイバーセキュリティ強化に最優先で取り組んでいる
- 即時更新と最新のイノベーションへアクセスできる利便性を追求している
- 録画をオフサイトでバックアップする必要がある
- 展開を通してハードウェア設置面積を最小限またはゼロにすることを目指している
- ハードウェアを保持したくない、または保持するリソースがない
ハイブリッドクラウドの展開
ハイブリッドクラウド展開をすると、各システムとサイトの設定を自由に選択できます。完全にオンプレミス型のサイト、完全にクラウドでホスティングされているサイト、エッジデバイスまたはクラウド管理されたアプライアンスを使用してクラウドに接続されているサイトを展開できます。カメラ、ドアリーダー、コントローラー、他のデバイスで収集するビデオとデータは、エッジ、オンプレミス、クラウドのいずれかを問わず、どこからでもアクセスできる一元化されたクラウドソフトウェアに戻されます。
ハイブリッド展開では、クラウド管理アプライアンスはクラウドへ移行する際に欠かせない重要なコンポーネントになる可能性があります。そうすることで、古いセキュリティシステムをクラウドに変換すると同時に、オンサイトのストレージと処理を追加し、メンテナンスを低減し、サイバーセキュリティを強化できます。
ハイブリッドクラウドの展開に導入したい独自のオンプレミスサーバーインフラがある場合もあります。ハードウェアの管理とメンテナンスの責任は引き続きお客様にありますが、クラウドソリューションとクラウド管理アプライアンスを使用すると、サイバーセキュリティのベストプラクティスを強化し、サイト全体のメンテナンスを合理化できます。
ハイブリッドクラウド展開することでメリットがある組織
- フルクラウド展開をサポートするインフラが整っていない
- クラウドに移行しつつ既存の投資を活用したい
- インターネット接続が制限されていたり、データプランが小さかったりするサイトがある
- 異なるタイプのサイトでサイバーセキュリティを強化したい
- さらに優れた展開の柔軟性とアジリティを求めている
- エッジにストレージと処理能力を追加するための要件がある
- オンプレミスのインフラをそのまま使用する必要があるが、一元的なクラウド管理も必要である
クラウドとハイブリッドクラウド展開の最も大きな違いとは ?
フルクラウドとハイブリッドクラウドのフィジカルセキュリティ展開の主な違いの1つは、そのまま使用する必要があるオンプレミスのシステムまたはインフラがあるかどうかです。
例えば、クラウドベースではないアプリケーションを実行していて、ポリシーによって依然としてオンプレミスインフラの使用が定められているサイトがある、またはインターネット接続が不安定で帯域幅が低いなどのサイト制限がある場合です。
オンプレミスのインストールを維持することを選択する場合、サイトの要件を超える場合がよくあります。複数のサイトを有する組織は、クラウドへ完全に移行する準備はできているものの、独自のペースでゆっくりと移行を進めたいと考えるかもしれません。この場合、ハイブリッドクラウド展開をすることで、オンプレミスのシステムを1つずつクラウドに移行しながら、単一のソリューションからすべてのサイトを一元管理できます。
もう1つのシナリオは、組織がクラウドに対応していないインフラハードウェア、エッジデバイス、IIoT センサーに多額の投資をしている場合です。より堅牢で高度なクラウドソリューションへの移行に関心があったとしても、既存のハードウェア資産をすべて処分するのは複雑すぎたり、コストがかかりすぎたりすることがあります。クラウド管理アプライアンスを使用すると、既存の投資を維持しつつ、これらのインストールをクラウドに簡単に移行できます。
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クラウド管理アプライアンスを使ってクラウドへの移行を簡易化する方法をご覧ください
ハイブリッドクラウドのセキュリティ設定では、クラウド管理アプライアンスを使用することで、クラウドに容易に接続でき、古い入退室管理システムやビデオ監視システムを最新化できます。従来のオンプレミス サーバーを簡単に入れ替えでき、サイトを中央セキュリティオペレーションと接続できます。
そうすることで、カメラ、入退室管理リーダー、他のセンサーなどの既存のシステムを保持したまま、直感的に操作できるソフトウェアを使用したクラウド管理を通じてシステムメンテナンスを合理化できます。フィジカルセキュリティオペレーションを向上させるエンタープライズグレードの高度な機能を搭載した、最新のクラウドネイティブのビデオおよび入退室管理サービスにもアクセスできます。
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クラウド管理アプライアンスのメリット
動画と入退室コントロールシステムをクラウドに接続することで、エッジからさらに多くのデータを収集できるようになります。業務に関する新しい知見を得て、その情報を活用してプロセスを改善し、新たなビジネス目標を達成できます。最終的に、これはフィジカルセキュリティへの投資からより多くの成果を得る第一歩となります。
これらのクラウド管理アプライアンスを導入することで得られるもう1つの大きなメリットサイバーセキュリティ体制の強化につながります。すべてのサイトへの接続を一元化することで、システムの健全性を監視し、システムが強化され、常に最高のパフォーマンスで稼働できます。
アップデートと修正パッケージはクラウドからプッシュされるため、デバイスの安全が常に保証されます。アップデートを適用することで、市場に登場したイノベーションに継続的にアクセスできるようにもなります。さらに、すべてのアップデートをベンダーが処理し、デバイスはデフォルトで確実にセキュリティ強化されるため、面倒なメンテナンスの回数を減らせます。
最後に、これらの最新のクラウドアプライアンスには、内蔵型の冗長性と帯域幅の最適化機能が備わっています。したがって、帯域幅の制限や他にサイト制限がある場合でも、インストールを最適化し、要件を満たすデバイス構成が実現できます。
最後に、フルクラウドへ移行すると決定した場合も、いつでもクラウド管理アプライアンスを追加してハイブリッドクラウドに変換できるオプションがあります。これらのデバイスを使うと、必要なときに必要な場所で、エッジに冗長性、ストレージ、処理の機能を追加できます。デバイスはプラグアンドプレイ型で、インストールも簡単です。また、クラウド上で管理されるため、アップデートやメンテナンスなどすべてを簡素化できます。
クラウド管理アプライアンスを使用することでメリットのある組織次の事項が当てはまる組織:
- 展開の柔軟性とアジリティを求めている
- 既存の投資を維持しつつ展開を最新化したい
- 限られた帯域幅のリソースを管理したい
- 既存のエッジインフラを残したまま、独自のペースで移行したい
- コンテナ化されたワークロードやカスタムLinuxオペレーティングシステムなどを使用して、ストレージと処理アクティビティをエッジにプッシュしたい
- クラウドとエッジの保持オプションを利用してネットワーク負荷を軽減したい
- エッジにあるフィジカルセキュリティデータを活用したい
導入時にハイブリッドクラウドまたはクラウドのどちらかを選択したい
フルクラウドとハイブリッドクラウド展開の違いを理解すると、情報に基づく選択ができ、フィジカルセキュリティのロードマップ (EN)で達成したい目標を定義することもできます。ハイブリッドクラウドまたはフルクラウドのどちらのセキュリティソリューションが組織にとって最適な選択かを示す、成果ベースのシナリオを次にご紹介します。
シナリオ 1
旧式のスタンドアロン動画および入退室管理システムをすべて接続し、企業全体でフィジカルセキュリティの管理を一元化したいと考えていますが、カメラと入退室管理リーダーはクラウドに対応していないため、オンプレミスに残さなければならないサーバーインフラが存在するサイトもあります。
ハイブリッドクラウドが有益な理由: クラウド管理アプライアンスを古いサイトに追加すれば、それらをすべて一元化されたクラウドソリューション内で接続できます。また、オンプレミスのシステムをクラウドソリューションにフェデレートし、完全統合型のセキュリティ管理体験を実現できます。
シナリオ 2
当社は、耐用年数がもうすぐ切れる古い入退室管理システムとビデオ監視システムを使っています。統合セキュリティソリューションを導入したいと思っていますが、オンプレミスのインフラハードウェアの管理、保守、調達はしたくありません。この目標の達成の妨げとなる規制遵守やオンサイトのストレージ要件はありません。クラウドに完全移行する準備ができていて、クラウドへの完全な移行に必要な帯域幅と予算もあります。
フルクラウドが有益な理由: クラウドに直接接続するカメラやアクセスコントローラだけでなく、 クラウドネイティブのビデオ監視および入退室管理ソフトウェアを含むクラウドソリューションにも投資できます。クラウドへ直接接続されたデバイスから収集するすべてのデータとビデオは、一元化かつ統合型のクラウドソリューションに接続されます。フルクラウド環境では、ストレージ、メンテナンス、アップデート、サイバーセキュリティすべてをベンダーにアウトソーシングします。組織全体のセキュリティ強化に集中し、データを活用して運用上の知見を生成する時間を増やすことができます。
シナリオ 3
低帯域幅のリモートサイトのいくつかには、古いカメラと侵入パネルが設置されています。ビデオ監視システムをアップグレードし、入退室管理を追加する必要があります。また、サーバーインフラに投資する余裕がなく、技術上の問題が生じるごとに現場に人を派遣するとなると大幅なコストと時間がかかります。リソースの利用率を最適化し、既存のハードウェアをそのまま使える方法を見つけ、動画と入退室管理のアップグレードに必要な予算を最大限に活用したいと考えています。
ハイブリッドクラウドが有益な理由: 既存の投資をそのまま維持しつつ、動画および入退室管理のワークロードを実行できる小規模なクラウド管理アプライアンスをサイトに追加できます。さまざまなシステムやサイトから収集するすべてのビデオとデータは、単一かつ単純なクラウドソリューションに接続されます。これにより、すべてのエッジデバイスを一元的に管理および保守できるため、更新処理やシステムのトラブルシューティングのために作業員を現場に派遣する必要がなくなります。
フィジカルセキュリティ業界におけるクラウド用語
クラウドテクノロジーについて資料を読んだり調査したりする際に、混乱が生じる可能性があるため、当社の専門家が、よく使われる用語一覧を作成し、解説します (以下を参照)。また、お客様とセキュリティチームに活用していただける完全チェックリスト (EN)も作成しましたので、長期的に効果を発揮するクラウドベースのフィジカルセキュリティソリューションを選択する際にお役立てください。